ショパンのマズルカは、民俗音楽と舞曲の要素が強いですが、ノクターンやワルツに近いものもあって、私のレベルでは判別が難しいことも多いです。この13番(op17-4)は、とてもユニークで印象的、ある意味とてもマズルカっぽいと言っていいのでは?と思います。
そして、コルトーさんがコメントの冒頭で言及したのは、当時のある音楽批評家が、このマズルカは「ユダヤ人の物乞い」のイメージを喚起する、と言ったことです。これは今なら炎上案件ですが、当時はワルシャワ市民も「そうかも」という反応だったようです。
ポーランドの方に訊くと、ポーランドは歴史的にユダヤ人の受け入れには好意的だったこと、ユダヤ人には裕福な人とそうでない人がいたそうですから、格別に差別的、という訳ではないのかも知れません。
確かにエキゾチックで哀愁をそそる曲で、コルトーさんもこの批評は受け入れています。そして、ショパンの卓越した才能によって、さまざまな要素を全て含めながら高い芸術的作品に仕上げた、と、うまくこのエピソードをショパンの絶賛に利用しています。
後半の曲そのものに関する記述は、私が練習に活かせるように、自分なりに解釈しました。かなり変えましたが、ポイントはあってるはずです。
1.静かな導入部は、本編の雰囲気、方向性を作り出すもの
2.旋律は心に響くが、抑えた情感を慎み深く表すように
3.風に揺れる蜘蛛の巣、あるいは極薄い絹物のような装飾フレーズは、儚いが、精緻で、曲の輪郭に新しさを加えている(蜘蛛の巣の精緻な美しさをイメージする)


(↑この二つを合わせたイメージです。
絹のように軽く、蜘蛛の巣の精緻な美しさが出るといいなあと思います。)
4.感情表現は控えめで調和を保つこと
5.動きは均等で継続的に
演奏に関する記述のあと、「この曲は弾き手に恍惚感、聴き手に郷愁に満ちた悦びを与える」と書いています。
また、マズルカのリズムは、ノクターンにも(意図的に)表されていると。(これが私のマズルカへの出発点となった付点音符です。納得がいきましたし、ノクターンの演奏に活きてきました。)
締めくくりは詩的です。
「踊っているのは、身体ではなくて、ショパンの音楽に心を和らげられた、深い痛みを持つ魂である。」
こういう文章を読むと、ワンフレーズ、ワンフレーズ、おろそかにしないで心をこめて弾こうという、厳粛な気持ちになります。
よろしかったら、聴いてみてください。私はルビンシュタインのこの演奏が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=idbaPu1gDPg